日光の鹿事情 |
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日光には、多くの野生動物が生息している。
クマには3回遭遇しているが、これは私が山に入る機会が多いためで、クマを見た日光人の数はそう多くないはずだ。
しかし、猿と鹿を見たことのない日光人はたぶんいない。
猿に及んでは私は毎日のように見ている。猿を見ることがあまりにも日常的になっていて、カメラを向ける気にもならない。
今まで猿なんか見たこともないという土地に突然ハグレ猿が一匹現れて、街中がパニックに陥り警察まで出動して捕獲作戦が行われました・・・などというTVのニュースを、全日光人は「ケッ!」という思いで見ているに違いないのだ。
鹿は猿ほどではないにしろ、これまた数は多い。多いけれども頻繁に見るということはない。一部地域を除けばである。
その一部地域を昨日車で走った。
なぜ走ったかというと、鹿の写真を撮りたいと突然思い立ったからである(笑)。
いくら日光でも、突然シカの写真を撮りたいと思い立ち、それがすぐ実現するほど甘くはないかと自嘲しながら霧降の別荘地を車で走ったのである。
そうしたら、信じられないことにシカの放牧場に行き当ったのだ。
「放牧場」というのは、もちろんタトエだけど(笑)、こんな光景は初めて見た。
7頭の雌(メス)鹿が空地の草をついばんでいる所に出くわしたというわけだ。
ここは私の知人であるjukeさんのバーに程近い所。車が走り抜ける道路際である。jukeさんが、例えば麓(ふもと)のミルキーハウスに下りてくるときはここを通る。
車を降りてカメラのシャッターを押しながら近づくが・・・逃げない。草を食べるを止めて、警戒しながら私を見ている。
この辺りには畑も無いし、林業に従事している人も少ない。だから、利害関係もなくて、シカは害獣ではないということなんだろう。
ここは人間とシカの友好関係が上手くいっているようだが、一方では、増えすぎたシカを害獣という名目で駆除しなければならなくなっている。
ここまで書いて、思い出したことがある。日光のシカは厳密に言うと純粋な在来種ではないらしい。
山岳・源流ガイドであり、ライターでもある高桑信一氏の著書「山の仕事、山の暮らし」の中の「足尾・奈良のシカ撃ち」という項で日光から山一つ越えた群馬県側奈良(なろう)の住人・そしてハンターでもある井上盛次さんがこう語っている。
「この辺のシカは、ほかのニホンジカと違って大型なんです。第二次世界大戦で日独伊が三国同盟を結んだときに、ヒトラーが二頭のドイツのシカを献上しましてね。それを日光の天皇の御猟場に放したんですが、そのとき一緒にエゾジカも入れたんです。ですから、いまのニッコウジカは在来のシカとの三種交配みたいなもんです」
ということなのである。
こういうことは、日光人でも知っている人は少ない・・・・と思う。
※合併して間もないもんですから、合併後の新・日光市の実感がまだ少ないようです。ここでいう「日光人」とは旧・日光市民ということでご理解願えれば・・。そのうち慣れますから。