大内宿 |
画像は2005年11月撮影
これからの「観光開発」というものは開発と保全という矛盾した概念の微妙なバランスが必要とされる、と言われている。
言われているのだが、なかなかその具体策が打ち出せないでいる。
しかし、行き詰まりを感じている観光地が多い中「保全」だけで成り立っている場所がある。
福島県会津下郷町の「大内宿」である。
会津と今市日光を結ぶ「会津西街道」の宿場として栄えた村である。
藁葺き屋根のこの集落がなぜこのような形で「保全」されたかは知る由もないが、少なくとも30年ほど前から観光客を集めていた。というのは、私は30年前にここを訪れた記憶があるからで、その時も前時代にタイムスリップしたような印象を受けた。
久しぶりに訪れてみたら、平日というのにたくさんの観光客がおよそ300mの街並みを歩いている。一部には土産物屋などが多くあまりにも観光地化しすぎているという批判もあるようだが、私自身は地元の土産物を見て歩くのは楽しみのひとつであるので、その批判には賛成できない。
こういう場所に土産物や特産品の店がないのは、お祭や縁日に露店が出ないのと同じように物足りない。そういえば、前に来た時、この集落の中でキノコ採り用の籠を買ったことを思い出した。
冬は雪深いだろうから「保全」には部外者が判らぬ苦労があるだろうけど「観光」のもうひとつの形がここにはある。